そろばんネタ帳

そろばんと教育

005)脳が元気になる新療法

指で弾くだけで集中力・記憶力が高まり、物忘れを一掃する「そろばん脳トレ」が全国で大評判。

諏訪東京理科大学教授 篠原菊紀先生

 

前回、そろばんを使った脳トレを紹介したところ、読者の皆さんから非常に大きな反響がありました。あらためて、そろばんが脳を活性化させる働きについてお話しましょう。 

 

手の指を動かすと、脳の前頭葉という部分が活性化して、脳が若返るとよく言われます。もの忘れや認知症を退けるためには、脳の前頭葉を活性化することが重要となります。 

脳を活性化させる方法を具体的に示すと次のようになります。

・手慣れたものでなく、脳にある程度負荷がかかるもの

・難しすぎるものではなく、少し頑張ればできるもの

・心をこめて出来るもの

・やる気をもって出来るもの

手の指を使って脳を活性化させる方法は数多くあります。その中でも記憶力や集中力を高めるのに役立つのが、そろばんです。

 

先生が出す問題を聞きながら行う聞き取り算は、聴覚を使います。また、問題を見ながら行う見取り算では、視覚を用います。そのため、脳の運動野ばかりでなく、視覚野・聴覚野といった部分も使われるのです。

聞き取り算にしても見取り算にしても、数字を瞬間で記憶して、そろばんをはじかなければなりません。そのため、記憶力の向上につながり、暗算の能力もついてくるのです。

そろばんは、手の指ばかりでなく、目や耳を使って、大がかりな脳のトレーニングが行われるのです。

 

そろばんを弾いて脳が活性化すれば、記憶力が向上して認知症予防にも期待

そろばんをやる為に教室に通えば、友人や仲間が出来てコミュニケーションが取れることも、脳の活性化に役立つといえます。さらに、そろばんには段級制度があることも、脳の活性化をする上で非常に重要です。この少しでも上を目指すということが脳の活性化につながるのです。

 

そろばんをはじいて脳が活性化すると、次の段階では脳の沈静化が起こります。このとき、脳の神経細胞が活発に働いたり、脳細胞を育てる物質が分泌されたりします。その働きによって、記憶力や集中力が高まるのです。

出典:『健康365』 2009年2月号 発行元 ㈱エイチアンドアイ

指導者紹介

篠原菊紀(しのはらきくのり)

諏訪東京理科大学教授

1960年長野県生まれ。東京大学大学院教育学研究科修了(健康教育学)。専門は脳システム論、健康教育学、精神衛生学。主な著書に、『未来の記憶のつくり方』(化学同人)『不老脳』(アスキー新書)など。