そろばんネタ帳

そろばんと教育

006)尼崎市における「計算科」導入の効果

amagasaki kouka
 2009年12月26日全国珠算教育連盟主催の「全国珠算研究集会」が高松市で開催されました。

基調講演は、尼崎市教育員会教育次長の徳田耕造氏が「尼崎市における「計算科」導入の効果について」講演をされました。

以前から、「立派な実績をあげている」という噂は聞いていましたが、グラフを駆使した講演内容は、講師の控えめな語り口にもかかわらず、かなり鮮烈な印象を感じました。その一部をご紹介させていただきます。聞き取りですので、説明の不備はご容赦ください。

 

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左表は、4教科の合計点数の推移です。「計算科」は1校から始まり、1年ごとに実施校を増やして行き、平成20年に市内43校全校に拡大して行きましたので、開始年度によりグループ化してあります。(黒色は市内全校の平均です)

1:まず注目してほしいのが、平成17年以前に導入した赤色の学校群です。市内平均より低かった成績が、途中から市内平均を凌いでいる様子が手に取るように分かりますね。2:その一年後に導入したピンク色の学校群についても、同じ傾向が見られます。

 

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3:左表により教科別に比較してみると、算数の伸びが顕著なのは、一目瞭然ですが、国語においても、同じような傾向が見られます。そして、理科・社会においても、その傾向が見られます。

そろばんと関連性のある算数のみでなく、他の教科の成績が向上している事実について、まだまだ調査分析が必要です。現場としては、「生徒の集中力」が高まっていると認識していますが、集中力を数値や調査結果として分析できる手段が見つかっていないのが現状です。

  
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 4:保護者へのアンケートの結果で、凄い評価が出ましたので紹介いたします。

「計算科の取組みについてどう思われますか」に対する回答のうち、「大変良いことである」「概ね良いことである」の回答が全体の93%に達したことです。「今だかって、このような高い評価を受けた事業は無かった」と強調されていました。      

 

 

※この成果をどのように普遍化して行くのか、「ソロバンの教育効果」に対する大きな一歩となることは間違いないようです。     以上