そろばんネタ帳

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014)永臺手作りの夫婦箸(めおとばし)

永臺作 夫婦箸
不世出の名工と呼ばれている初代永臺(えいだい)は、若い頃 雲州堂の職人方をやっていた時期があり、人生の節目節目に心のこもった記念の品を贈ってくれていました。

 

ここにご紹介するのは、初代永臺が70歳で黄綬褒章を叙勲された記念の品です。

木片の表書き「有りがたき七十年の御大恩を謝し」 裏書き「永く丸く又堅く 永臺ハ祈者也」

永臺作の夫婦箸
永臺作の夫婦箸

 材料は、木の真珠と呼ばれる本黒檀材。木目の全く見えない最高の部分を使用しています。一切の塗料やワックスを使わず、「木賊(トクサ)仕上げ」と「椋(ムク)の葉磨き」による控え目な光沢が上質感を高めています。

本品は未使用品ですが、使い込めば使い込むほど人の手の脂分を吸収し、光沢を増してゆくことでしょう。

夫婦箸のそれぞれの長さに合わせて微妙に形状が異なり、男性用はシャープなイメージ、女性用は丸くやさしい印象があります。

 

手にしたバランスは最高です。圧巻なのは、緻密な本黒檀材を使用している為に箸同士が当たるとチンチンと金属音がすることです。市販されている黒檀製の箸の音とは雲泥の感があります。