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033)ブラジルの末代算盤

本年(2016年)2月に弊社英文サイトへブラジルのMarioさんから問合せがありました。

下記の画像のそろばんを所有されているのですが、「この算盤の由来や製造年代を知りたい」 とのご希望でした。

さて、弊社創業者日野徳次はアイデアマンで種々の特許を取得していることは周知の事実ですが、この「末代算盤」 という名称も、特許も全く資料に残っていませんでした。

珠算史学会の幹部の方に相談して、ある程度結論を出しました。

「明治終わりから大正の初め、日野雲州堂をはじめ、大阪のそろばんメーカーが相次いで、金属製の枠材を使用した安価なソロバンを開発し、大きくシェアを拡大した」 ということです。

 

末代算盤 側面

末代算盤 正面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前に日本ブラジル移民百周年事業が施行されましたが、この算盤もほぼ同じ時代である約100年ほど前に生産されたモノです。ブラジル移民の方々がたいへんなご苦労はされたことはよく聴きますし、また、その艱難辛苦の努力の結果、現地で立派に成功され、ブラジル社会から尊敬されているということです。

ほとんどの家財道具は日本で売り払って現地に入植されたということですが、この算盤は肌身離さず現地に持参されたのでしょう。毎晩この算盤で家計の計算をしながら、やりくりをされている姿が目に浮かびます。

「末代算盤」の名前が示すように、この算盤は100年近く経てもビクともしない強固な構造を有しているようです。

末代算盤 国内

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じつはその後、珠算史研究学会の幹部の方のご紹介で、「末代算盤」を手にする事が出来ました。上記の写真がその現物です。

細部にわたり、創業者のアイデアがちりばめられており、改めて、感心させていただきました。感謝・・!