そろばんネタ帳

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023) 「建部賢弘の円周率計算をそろばんで再現する」数学文化


数学文化 表紙
「建部賢弘の円周率計算をそろばんで再現する」

数学文化誌 13号 著者・小川 束 他5名 発行:日本評論社

 

偶然、本HPで前出の鳴海 風著「円周率を計算した男」を読み終えた時期に、定期的に届く「数学文化」誌に表記の研究結果の紹介がありました。

 

 

建部賢弘は江戸時代に円周率の計算をソロバンを用いて行い、43桁のうち42桁まで正解を出した。

この建部賢弘の計算のコンピュータによる再現は、1983年和田秀男氏と1997年小川 束氏により実行されていたが、小川氏はこの計算をそろばんで再現した場合に、どれくらいの時間がかかるのか長らく興味を持たれていた。今回、4名のそろばん高段者(十段クラス)を集め、画期的な挑戦の運びとなった。

 

結論から記載すると、足かけ3日間、総計算時間は約18.6時間という膨大な時間が必要であった。今回の計算で最も時間を要したのは、45桁の数値の平方根を開く計算である。ソロバンが厳密にいえば4本必要で、要した時間は34分から75分間であった。

複数のソロバンを横に連ねてはじいてゆくので、「コロ付きのイス」を横に転がしながらソロバンを置いてゆくという前代未聞の計算方法です。

 

建部賢弘が現代のソロバン高段者より計算が速いことは考えにくいので、その当時、想像を絶する努力をされた先人の偉大さが実感された。

朝9時から夜9時までほとんど休みなしで、そろばん(高度な開平計算)をはじく必要があったようです。

凄い集中力です。